2006年12月01日

谷沢永一 『書物耽溺』

 
闘う書誌学者・谷沢永一が、堀口大学の『月下の一群』についてこんなことを書いている。

ところが『月下の一群』には格別の稀覯本が作られている旨を佐々木桔梗が伝えている。『月下の一群』にはまず二部本がある。初版のうち、訳者および刊行者用として各一部宛、特染バックスキンで作った総革装の贅沢本である。訳者本はくすんだ銀鼠色に近い染のもの。市販本同様図柄が背や平に金箔で押され、純金による三方金であるという。
七部本も初版のうちで、和紙表紙に和紙刷である。長谷川潔画伯の挿絵作品中の花と瞳の図が表紙にあしらわれ、外函も同じデザインで、極めて清潔な然も軽い書物として仕上げられている由である。私は未だかつて古書店の目録で見かけたことがない。せめて書映だけでも心ゆくまで眺めたいものである。
『月下の一群』は大正14年、第一書房刊、限定1200部。ただ、まだ市場には結構出回っていて、コンディション極良で20万円前後だと思う(それでも稀覯本であるのに間違いないが)。
しかしこの豪華二部本と七部本ははじめて聞く。『月下の一群』の2刷目は和紙装だったと思う。七部本はそのプロトタイプ的なものなんだろうか。

ぼくも本好きだけど、もっともっと精進して、谷沢永一師のような書痴になるのが夢です。
この『書物耽溺』も書物(とくに「雑書」)に対する愛に満ちていて、素晴らしい。どのテキストも紙を無駄にしないように目一杯文字が叩き込まれている。すごい情報量。濃いです。

谷沢先生、「新しい歴史教科書をつくる会」のノータリンたちとあまり激しくケンカしないようにしてください。長生きして、たくさん本の本を書いてください。

谷沢永一『書物耽溺』書物耽溺
谷沢永一

単行本: 238ページ サイズ (cm): 19 x 13
講談社
2002-08
ASIN: 4062110962
by G-Tools

 
posted by Dr.DubWise at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | words | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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